CEAPを超えて ―EUが準備する「循環経済法(CEA)」とは
はじめに
2020年の CEAP(循環経済行動計画) は、EUのサーキュラーエコノミーを推進する青写真でした。そこから生まれたESPR、DPP、PPWRなどの規制は、今まさに企業に具体的な対応を迫っています。
そして今、欧州は新たな段階に進もうとしています。
それが Circular Economy Act(CEA:循環経済法) です。
2025年 9月10日のEU委員会でフォン・デア・ライエン委員長の一般教書でも次のように言及がありました。
“And the only answer here is creating a truly circular economy.”
(唯一の答えは、真に循環型の経済を構築することです)
この一文は、欧州が循環経済を「法」という次元に昇格させようとしている姿勢を象徴しています。
CEAPからCEAへ
- CEAPは「行動計画」=設計図。
- そこからESPRやDPPなど、分野別の規制が実装されてきた。
- ただし企業からは「全体像が見えにくい」「規制が断片的」という声も強い。
- そこでEUは、規制群を束ねる「共通ルール」としてCEAを準備している。
CEAP(循環経済行動計画, 2020)
- 重点分野:繊維・電子機器・包装・建築・バッテリー
- 横断テーマ:製品政策・データ・消費者情報
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派生した個別規制
- ESPR(持続可能な製品規則)
- DPP(デジタルプロダクトパスポート)
- PPWR(包装・包装廃棄物規則)
- バッテリー規則, WFD改正 など
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CEA(循環経済法, 検討中)
- 共通ルールの枠組みを整備
- 規制群の整合性を強化
- 市民参加を制度化
- 加盟国間の最低基準を統一
CEAの意義
- 共通ルールの枠組み
- 分野ごとに分散していた規制を統合し、企業にとっての分かりやすさを確保。
- 加盟国間の最低基準を統一
- 循環経済の市場をEU域内で一体化。
- 市民参加の制度化
- public consultation や call for evidence を単発でなく恒常的に組み込み、透明性を強化。
| 視点 | CEAの狙い |
|---|---|
| 規制の整理 | 個別に分散していた規制群を共通ルールの下に統合し、企業にとっての見通しを良くする。 |
| 市場統合 | 加盟国ごとの違いを吸収し、域内で最低基準を統一して循環経済市場の一体性を確保する。 |
| 透明性 | public consultation や call for evidence を制度的に組み込み、市民や産業界との信頼を強化する。 |
| 競争力 | 循環経済を「負担」ではなく「成長戦略の基盤」として制度化し、欧州産業の競争力を高める。 |
現在の動向
- 欧州委員会で オムニバス法案としてのCEA が検討中。
- 複数規制の「傘」として位置づけられ、循環経済の憲法のような役割を持つと見られる。
- 現場の声:
- 産業界 → 「規制重複でコスト増にならないか」
- NGO → 「実効性をどう担保するのか」
- 加盟国政府 → 「自国の裁量が狭まりすぎないか」
- こうした対話を重ねつつ、欧州は制度設計を進めている。
CEAのスケジュール展望
CEA(循環経済法)はまだ正式に成立していませんが、欧州委員会や関係者の発言から以下のスケジュール感が見えてきます。
| 年・時期 | 動き | ポイント |
|---|---|---|
| 2025年夏 | Public Consultation 開始 | 市民・産業界・NGOから広く意見を募集中。 |
| 2026年 | 欧州委員会が法案案を提出予定 | 「循環経済法」として正式な提案へ。 |
| 2026年〜 | 欧州議会・理事会で審議 | 加盟国・議会での調整に時間を要する見通し。 |
| 採択後 | 加盟国での実施・移行猶予期間 | 通常2〜5年の移行期間が設けられる可能性。 |
| 2030年 | EU全体の循環率目標 | CEAは2030年目標達成を支える基盤枠組みに。 |
日本企業にとってのインサイト
- 全体像を把握する「コンパス」
→ 今後はCEAを入口に規制群を理解する必要がある。 - 透明化の加速
→ DPPやEPRの要求がCEAの下で統合されることで、サプライチェーンデータ標準化がさらに進む。 - 先行理解の優位性
→ 日本ではまだほとんど議論されていない段階。いち早く理解することで、欧州企業との協働や市場参入で優位に立てる。
まとめ
CEAは、循環経済を「計画」から「制度の中核」へと昇格させる試みです。
規制の網を煩雑な負担と見るのではなく、共通ルールとして早めに理解・対応することが競争力につながると捉えることが大切です。
次回予告
次回は、CEAの理解をさらに深めるために、規制を読み解く前提となる サーキュラーエコノミーの原理原則 を整理します。
「廃棄を設計からなくす」「素材を循環させる」「自然を再生する」など、欧州の理念を基盤から押さえたうえで、ESPR(持続可能な製品規則)に進みます。


