【保存版】EUテキスタイル規制の全体像
DPP・CSDDD・循環政策を体系整理
EUテキスタイル規制とは何か?
EUでは現在、テキスタイル産業に対する包括的な規制改革が進んでいます。
単なる環境対策ではありません。
設計・製造・販売・回収・再利用までを対象とするサーキュラーエコノミー型の産業再設計です。
本記事では、
- EUテキスタイル規制の全体像
- DPP(デジタル製品パスポート)
- CSDDD(企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令)
- ESPR(持続可能な製品規則)
を体系的に整理します。
① ESPRとデジタル製品パスポート(DPP)
ESPRとは?
ESPR(Ecodesign for Sustainable Products Regulation)は持続可能な製品を市場の標準にする横断規則です。
テキスタイル分野では:
- 耐久性
- 修理可能性
- リサイクル設計
- 再生材利用
- 有害物質管理
が設計段階で求められます。
デジタル製品パスポート(DPP)とは?
DPPは、製品ごとにデータを持つ仕組みです。
テキスタイルでは:
- 素材構成
- 原産地
- 環境負荷
- 修理情報
- リサイクル適合性
などの情報がデジタルで管理されます。
これは単なる表示義務ではなく、欧州テキスタイル産業の情報基盤です。
以下の記事で基礎から解説しています。
▶ 【ESPRとデジタル製品パスポート(DPP)とは?ファッション業界への影響】
また、欧州での実務議論については以下の記事も参考になります。
・【ReLondon CEweekレポート】
・【EU Just Fashion Project解説】
② CSDDDとテキスタイル産業の責任
CSDDDは、企業に対して人権・環境リスクの特定と対応を義務付けます。
テキスタイル分野では特に:
- 労働者の権利
- 上流サプライチェーン
- 環境破壊リスク
が焦点になります。
重要なのは、
「ステークホルダー」は業界団体ではなく、直接影響を受ける人々である点です。
すなわち、欧州向けに輸出していないテキスタイル関連企業も影響がある可能性があると言うことです。
▶ 【OECDによるテキスタイルサーキュラーエコノミーイベントの詳細はこちら】
③ 古着貿易と循環経済の再設計
EUでは中古衣料取引も政策対象です。
単純な輸入規制ではなく、
- 品質基準
- 分類基準
- トレーサビリティ
- 技術的規制(TBT)
を通じて「循環」を設計しようとしています。
▶ 詳細解説
④透明性プロトコルとデータ連携
EUテキスタイル規制の核心は「データの相互運用性」です。
DPPが機能するためには、
- プラットフォーム間連携
- 国際標準化
- データ整合性
が不可欠です。
国連が進める透明性プロトコルは、この相互運用の基盤を整えます。
⑤ EUテキスタイル規制は日本企業にどう影響するか?
影響は輸出企業に限りません。
- OEM企業
- 商社
- 原材料供給者
- リユース事業者
すべてが対象になり得ます。
EU市場に間接的に関わる企業も対応準備が必要です。
EU規制は“罰則”ではなく、本質は「設計思想の転換」
EUテキスタイル規制は制裁型ではなく、
- 設計段階からの循環化
- データによる責任可視化
- サプライチェーン透明化
- データ主導型管理
への移行です。
規制は増えているように見えますが、本質は「循環型経済への移行設計」すなわち、産業構造転換政策です。
関連シリーズ
📚 OECDテキスタイル連載
・第1回:CSDDDとリスク・スコーピング
・第2回:中古衣料とTBT規制
・第3回:古着貿易の構造問題
・第4回:DPPとトレーサビリティ
・第5回:WMSと実装課題
YEJapanとしての視点
欧州のテキスタイル規制は、点ではなく「構造」で動いています。
その構造を理解することが、今後の事業戦略を左右します。
YEJapanでは、欧州のパートナー(Circulear E)や実務ネットワークと連携し、最新動向の整理や対応方針の検討や戦略設計の支援を行っています。
ご関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。
著書プロフィール
山本 英治(YEJapan, CEO/ Circular E, Founder)
製造業に深い造詣を持ち、現在は欧州・日本の製造業や自治体におけるサーキュラーエコノミー戦略を実行するビジネスモデルデザイナー。
オランダと東京を拠点にESPR、DPP、ISO 59000シリーズなど欧州の規制適用や9R施策導入など仕組み化や実装支援を行う。

