欧州イベントレポート③―European Week of Regions and Cities
欧州が注目する「日本の地方ガバナンス」──OECDとの対話から見えたサーキュラーエコノミーの可能性

1. 欧州が注目する「日本の地方政策モデル」

欧州委員会が主催する European Week of Regions and Cities(EU地域・都市週間)の中で開催されたセッション
「Competitiveness built on inclusion of all territories(すべての地域を包摂する競争力)」 に参加しました。

この会議では、2人の登壇者が相次いで日本の取り組みを引用し、注目を集めていました。

“We need to organize special long-term service delivery plans, as Japan does.”

彼らが指摘したのは、
日本がすでに実践している「医療・教育・交通・エネルギー・デジタル」を一体的に運営する
長期的な地域計画(Long-term Service Delivery Plan) の仕組みです。

これは、欧州が推進する「place-based approach(地域主導型アプローチ)」の模範として紹介されており、
日本の地方政策が持続可能な成長とイノベーションを支えるモデルケースとして認識されていました。


2. OECDが語る「日本型ガバナンスの強み」

セッション後、私はOECD
José Enrique Garcilazo 氏(Head of the Regional and Rural Policy Unit)に直接お話を伺いました。

彼はこう語りました。

「日本は何年も前から、課題を長期的な視点で捉え、
国と地方が明確に役割を分担しながら協働して政策を進めている。
それが非常に良い点だと思う。」

Garcilazo氏が強調したのは、「shared governance(協働統治)」という概念です。
中央集権でもなく、単なる地方分権でもない。
国と地方が共に長期的な課題を設計・実行し、学び合う構造
が、
日本の制度に根付いている点を高く評価していました。

この「共働型ガバナンス」は、OECDが欧州地域政策で重視している
「territorial cohesion(地域間の一体性)」や「policy coordination(政策調整)」とも深く関係しています。


3. サーキュラーエコノミーの視点から見た“包摂型競争力”

サーキュラーエコノミー(循環型経済)の視点から見ると、
Garcilazo氏が語った日本の特徴は「地域循環共生圏(Regional Circular Ecosystem)」の本質そのものです。

地域の中で

  • 資源が循環する
  • 人材と知識が還流する
  • 公共と民間が協働する

こうした構造こそが、「包摂(inclusion)」を競争力へと変える鍵になります。

欧州では再生可能エネルギーの約7割が地方で生まれていますが、
日本もまた、地域資源の循環を軸に「地方創生×サーキュラーエコノミー」を再設計する段階にあります。

特に、ISO 59000シリーズやEUのESPR(製品持続可能性規制)といった国際的フレームワークを踏まえ、
日本型の地域協働モデルを世界へ展開する可能性が、今後さらに高まると感じました。


4. 結び──日本発の「包摂型競争力」へ

Garcilazo氏の言葉にあるように、
日本は長期的な視点で国と地方が連携し、課題に取り組む文化を持っています。

それは単なる行政の仕組みではなく、社会全体の設計思想です。

人口減少や地域間格差を「衰退」と捉えるのではなく、
「再設計のチャンス」として活かす。

包摂(Inclusion)と競争力(Competitiveness)を両立させるために、
地方から未来をデザインする力が、これからの時代を支えていくと感じました。


CircularE / YEJapan
サーキュラーエコノミー × 地方創生コンサルティング
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著書プロフィール

山本 英治(YEJapan, CEO/ Circular E, Founder)
製造業に深い造詣を持ち、現在は欧州・日本の製造業や自治体におけるサーキュラーエコノミー戦略を実行するビジネスモデルデザイナー。
オランダと東京を拠点にESPR、DPP、ISO 59000シリーズなど欧州の規制適用や9R施策導入など仕組み化や実装支援を行う。

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